外構全体をイメージして工事を依頼するとき、最も気になるのが費用の問題です。費用のことを考えて中途半端な工事をするのではなく、全体計画を数回に分けることで、イメージを完成させる方法があります。工事を分ける上で大切なポイントは……
この2点に注意しながら、イメージ通りの外構づくりをすすめていきます。
では、5年計画で工事を進めているH様邸の事例をご紹介しましょう。
第一期工事 門柱・アプローチ・ウッドデッキ
一期工事は、「生活をするのにすぐ必要なインターホン・ポスト・表札つきの門柱」「玄関への出入りに欠かせないアプローチ通路」「洗濯物干しのためのウッドデッキ」の工事を行いました。
- 外壁に合わせたレンガ門柱
- 洗濯物を干すだけでなく、
多目的に楽しむための広いデッキ
工事を分けることで、一期工事の予算に余裕ができたため、広めのデッキを設置することが可能に。デッキが広いと使用用途の幅が広がり、ライフスタイルの変化にも対応しやすくなります。また、デッキの設置で家から庭への出入りも楽になりました。
第二期工事 テラス屋根・芝生・ガレージ土間・物置
二期工事は、「自転車・バイク置き場」「前庭の芝生」「駐車用のガレージ土間」「物置」の工事を行いました。
- 自転車とオートバイの為の
スペース - 植えたばかりの芝生
- 外壁に合わせたレンガラインの
ガレージ - デッキによく合うお洒落な物置
自転車・バイク置き場の屋根は、多目的に使用できるようサービスヤード全体に取付しました。これは一期工事でウッドデッキを広めに設置したのと同じ理由で、長期的に見た生活の変化(家族の成長)を考慮しています。ライフスタイルや家族の人数の変化は、外まわりの必要機能も変化させます。
第三期工事 水栓パン・コンクリート土間・デッキフェンス
三期工事は、「水栓パン」「コンクリート土間」「デッキフェンス」の工事を行いました。実は、犬走り(建物基礎まわり)部分のコンクリート土間は予定外の工事です。生活するうちに不便を感じたため、この三期工事で土間打ちをすることになりました。
- 立水栓に追加したパンと犬走り土間
- これで布団やマットも楽に干せます
通常、犬走り土間のような小さな部分のコンクリート打ちをそこだけ依頼すると、割高になってしまいますが、今回のように計画上での追加・変更となれば安く抑えることができます。
第四・五期工事 左右隣家との境界工事
四・五期工事でやっと境界ブロックの登場です。通常の工事順でいくと、境界ブロック積の後にガレージ土間工事を行います。しかしH様宅の場合、二期工事のときには隣が空き地だったため、ガレージ工事を優先させて、四期での境界工事になりました。
計画無しでガレージ工事を済ませていたら、境界ブロック設置部分のコンクリートを撤去しなければいけません。ですが、今回は境界工事も計画内ですので、あらかじめ、ブロック積に必要なスペースを残して、ガレージ土間を打ちました。
- 左隣家との境界(モルタル)
- 右隣家との境界(砂利)
境界工事後に残ったガレージ土間のすき間は、モルタルと砂利を敷き、雨の日に水を逃がす排水溝になりました。ブロック積用に空けておいたスペースが、結果として別の機能ももたらしてくれたのです。このように、「無駄な後戻りをせず、機能を付加すること」も基本計画に入れています。
お客様と一緒に、さらに心地よいエクステリアを目指して
お客様と作り手が協力し合い、満足のいく外構を作り上げるには
「基本となる全体構想をお客様と共有すること」「住宅外部での生活機能の優先」
この2つがとても大事な要因です。
生活の変化に合わせた細やかな修正を繰り返し、お客様にとって更に心地よいエクステリアを目指していきます。線路がどこまでも続いていくように、お客様とのコラボレーションも続いていきます。このあとの計画は、ガーデンルームの設置・造園工事へと続く予定です。