広いスペースの庭に、イメージの異なる3つの庭を作り、それぞれを違和感なく繋げていく。そんな庭の構成をご紹介いたします。室内から眺める庭、手入れをして触れる庭、それらを繋ぐ通路としての庭。それぞれに共通の素材を使うことで、統一感を持たせ家の雰囲気との調和も大切にします。見え隠れする・見通せない・一部が見える・全体がはっきり見える等の「見せ方」に工夫をしました。
それでは、図面と照らし合わせながらそれぞれのお庭を見ていきましょう。
- 設計図面
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- 1 玄関ホールでお客様を迎える、額縁に収まった絵のような坪庭
- 2 ガラス角柱インゴッドと、照明で楽しむ和モダンの庭
- 3 みかげ石柱とバラアーチ
- 4 リバーシブルウォールで仕切る和洋の庭
- 5 和と洋の庭を結ぶロックガーデン
1 玄関ホールでお客様を迎える、額縁に収まった絵のような坪庭
玄関ホールと和室の二方向からの眺めを意識した和風の坪庭です。周囲を竹垣で囲み、静寂な空間を切り取り、灯籠と緑で演出しました。晴れた日には陽が当たり、緑が目にしみる心地よいお庭。曇りの日はしっとりと落ち着いた庭に。同じお庭でも違った表情を楽しむことができます。
景石は既存のものを再利用し、たおやかな丸みをおびた道風灯籠や延段が庭の流れを作ります。
2 ガラス角柱インゴッドと、照明で楽しむ和モダンの庭
玄関から続くみかげの敷石を歩けば、玄関横の竹垣に囲まれた一角に庭があります。信楽焼きの水鉢やガラス角柱のインゴッドが庭のフォーカルポイントになっています。
この庭は客間に面した外に作られており、お客様の目を楽しませる、眺めるお庭としての役割が大きいです。
ライトアップで夜のお庭を楽しみます。室内から眺めることを重視しているので、手前から奥に高さのあるものを調節して配置してあります。
細かな気泡の入ったガラスは照明が入るといっそうキラキラと幻想的に輝きます。
3 みかげ石柱とバラアーチ
サブガレージからメインガーデンへの入口は、ゆるやかなアールを描いたみかげの石柱とバラアーチです。テラスの椅子に腰かけて、ロックガーデンを眺めたり、バラや植木のお手入れをしたりと触れて楽しむことができる庭です。
テラス土間はアンティークレンガと枕木で流れを意識し、次の庭へ自然と足が向くよう演出しています。
アーチを飾るバラは「ピエール・ドゥ・ロンサール」つるバラとして最も人気の高い品種です。一季咲きで初夏が見ごろ
4 リバーシブルウォールで仕切る和洋の庭
テラス土間からアプローチをゆっくり歩くと、今まで塀に遮られて見えなかった、灯籠とつくばいで構成した純和風の庭が見えてきます。
バラアーチの庭からは濃いブラウンの横貼り人工木フェンスが、灯籠の庭からは人工竹の竹垣がスクリーンとして機能します。それぞれの空間のイメージが異なっていながらも調和しているのは、このリバーシブルフェンスのおかげです。
フェンス手前に設置された陶器の水栓がお庭の入口からのフォーカルポイントになると共に、両方の庭の中心に位置しているので水やりも容易です。
雑木の深い緑と自然の石が織りなす純和風の庭です。四季折々の花を、照明計画により、昼夜を問わず楽しむことができます。
5 和と洋の庭を結ぶロックガーデン
異なったイメージの庭と調和させるために、リバーシブルウォールと共に緩衝役を担うものとして配置したロックガーデン。ごつごつとした岩の間から見えるカラーリーフや低木が目に鮮やかです。
おわりに.お庭で過ごす春夏秋冬
メインガーデンには様々な花や樹木など、季節の変化をつぶさに感じられる趣向がこらしてあります。お庭を楽しみ、お庭で過ごす時間のひとつひとつが大切な思い出になって欲しいというプランナーからの贈り物です。
春~初夏
全てのものが活動を始め、花の色が目にまぶしくうきうきと心が弾むような感動を与えてくれます。生垣のトキワマンサクの花が際立ち、アジュガのブルー、ハナミズキの白、バラのピンクが満開です。
夏
緑が枝を伸ばし、風にそよぐ姿が涼しげな夏のお庭です。
雨が降ると庭の緑はいっそう鮮やかになり、夏の暑さをしばし忘れさせてくれます。
秋
静寂な庭。ハナミズキやドウダンツツジが紅く色づき、カツラは黄色に紅葉します。パンパスグラスの穂が秋の風にそよぎ、ライトアップされた庭ではお月見が楽しめます。
冬
雪の舞う冬の庭です。花も緑もしばし休憩の時期ですが、室内から眺める雪の庭はしみじみとした趣を感じさせます。