庭にかかわる読み物いろいろ
大塚紀雄の庭コラム
第12回 園芸療法ホスピタルパーク《3》
子ども・高齢者・リハビリ用の設備
関西労災病院のホスピタルパークについてのコラムも、今回で3回目となりました。 3回目は、この関西労災病院ホスピタルパークにほどこされた園芸療法の工夫について、ご紹介します。
園芸療法は花の世話をする事により、心や身体に病や障害をもった人だけでなく、子ども・高齢者にとっても心身の増進を図り心をリフレッシュさせることを目的としています。
【パーゴラと花壇】
このホスピタルパークでは、四季の花ごとに花壇・パーゴラが区分されており、一年を通して花や緑が楽しめます。その中でも、車椅子でもガーデニングを楽しむことができるよう工夫された花壇は、高さ65cmと一般の花壇よりも高めで、また様々な工夫がされています。
この花壇の縁は、下部に少し奥行きをつけてあります。これは、上と下で奥行きを変えることで、車椅子で花壇に近づいたときに足元が収まるようにとつけられた奥行きです。さらに、木製の黒いラインは手すりではありません。このラインが車椅子の車輪をすこし花壇縁から離し、ちょうど手のあたるところに余裕をもたせてくれます。車椅子と花壇縁の間に手を挟まないようにと工夫されているのです。
足元には照明が設置され、ベンチにもなるコーナー作業台は車椅子の方向転換にも効果があります。さまざまな工夫を取り入れた花壇の園路、その上にはつる性植物用のパーゴラが設置され、夏の作業時には日陰を作ってくれます。家庭の花壇にもこのような工夫を取り入れれば、高齢者も楽に作業ができますね。
【芝生と丘】
芝生に入れない公園がある中で、この施設では芝生で遊ぶことができます。芝生の周囲の園路は一周すると100メートルになるように設計されていて、その為に歩いた距離を測る為のメタルプレートが埋め込んであります。
また、芝生の丘に上がる為には階段とスロープがあり、スロープは4%と8%の2種類の勾配があります。
これらはリハビリだけでなく、距離を測っての散歩、芝生でのびのび休憩、傾斜違いを実感するなど、子どもも大人も安全で気持ちも癒される、園芸療法の工夫なのです。
庭づくりに興味のある方は、この関西労災病院のホスピタルパークへぜひ訪問してみてください。きっと価値ある体験となることでしょう。
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