庭にかかわる読み物いろいろ
大塚紀雄の庭コラム
第5回 南向き玄関の外構アイデア
お庭・外構の依頼では、多くの方が「門・ガレージに緑を取り入れ明るくオープンな感じで、セミクローズ的な外構を提案してほしい」とおっしゃられます。この「セミクローズ」という一見シンプルな依頼に対して、本当にお客様が満足して頂ける外構をつくるのは、なかなか難しいものです。
特に難しいのが南向きの玄関の場合です。南向き玄関の場合、必然的にリビングの掃きだし窓も南向きになるため、道路からリビングが丸見え! あたりが暗くなると、明るい室内が道路からはっきり見えてしまうのです。 そうするとプライバシーを守りたいという気持ちが強くなるのですが、クローズで完全にとじてしまうと今度は室内が狭苦しくなってしまう……。そこで希望としてあがるのがセミクローズ、というわけです。
ところが、敷地条件・方角・道路高低差・建物から道路までの距離・玄関位置……セミクローズでは、すべての微妙な調整が必要で、この感覚は個人差が非常に大きく、とても難しいのです。 ここでは例として、駐車は現状車1台、将来道路と並行したもう一台駐車可能なスペースを備えた、セミクローズの外構を考えてみました。
[プラン図]
エクステリアを庭のイメージで考えたカジュアルで楽しいデザインです。ここでのメインは、シンボルツリーと、スクリーンとなった引き戸です。
引き戸門扉は、開けているとシンボルツリーと重なり、リビングの目隠しになります。 引き戸を閉めれば、3本の立木が重なり合い、引き戸とシンボルツリーが建物側のプライベートな庭と、道路側のフロントガーデンの区切りになります。 植木と引き戸門扉がクローズ外構の役目を果たすというわけです。 また夜間は、帰宅したご主人の車が玄関先に駐車され、引き戸がとじられ、さらに「クローズ」となるのです。
[平面図]
土間と芝生の区切りを柔らかく演出し、庭につながりをつける役目を、飛び石がはたしています。 このプランのポイントはやはり、引き戸と樹木のバランスです。どのような素材に「クローズ」の機能をもたせるかが、エクステリアにはとても重要なのです。
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