庭にかかわる読み物いろいろ
大塚紀雄の庭コラム
第4回 費用とデザイン《1》
庭づくりで、お客様がよく「わからない」とおっしゃるのが予算です。お客様は庭の目的とご自分のイメージを施工業者に的確に伝えるのは難しいでしょう。一方、業者も予算がわからないとお客様のご希望にあったお庭がデザインできない事にもなります。そのため、ついついお庭の計画のスタートラインを「予算」としてしまいがちですが、仕上がりと金額は必ずしも比例しない、というお話をしたいと思います。
下記の例はロックガーデンです。Aは約70万円、Bは約35万円です。
植木の管理の簡単さと、高低差による花の見栄えを目的とした「ロックガーデン」というのが、この2つの現場の共通点です。施行面積もさほどかわりません。ですが、金額は2倍もちがいます。植え込みの植物と自然石の数が全く違うのが写真からもみて頂けると思います。
まず、Aは庭全体から構想されました。アプローチ、室内など、各方向から見た場合を想定して石を配置し、また周囲の緑のデザインまで考えます。石の高低差を作り奥行きをだす為に埋め込む深さも必要です。施行時間もBの3倍かかりました。 対して、Bはガレージの隅のスペースを緑化するというのが一番の目的でした。隅ですから、視線は一方向からのみ意識すればよく、石の高低差なども複雑にはなりません。
この2つの現場では、お客様の目的とイメージがあきらかに違います。施工業者がしっかりとお客様の目的を実現した結果の、金額とデザイン、そして実現だったわけです。 お客様はご自身とフィーリングがあい、目的とイメージを伝えやすい、あるいは聞き出してくれる業者と出会う事が大切です。庭づくりは、お客様が業者を選ぶところからはじまっています。 よい庭業者を選ぶ主な条件を下記に延べます。ご参考にしてください。
1.業者の年数(10年以上が望ましい)
2.実績(写真、現場等)
3.プラン力(お客様の目的にあっているか)
4.造園(庭)専門職の人間がいる
(庭工事は経験/年数が5年以上必要な職人の世界)
5.植物・造園の経験豊富なスタッフがいる
6.工事後のアフター点検がある
(植物は生き物。口頭だけではなくアフター訪問を定期的にしているか)
最後に、下の写真はBの現場の2年後の写真です。花好きなお客様の努力もあって、こんなに見事な庭になりました。
お客様のもつ「どんなお庭にしたい」というイメージを共有できる業者と出会えれば、庭もお客様とともに成長することができます。 上記の6つの条件に会うような業者選びから取り組み、ぜひ、愛情を持ってお庭を創っていただければ、と思います。
- アップダウンの高低差を楽しむ庭
- 快適条件を満たせた絶景の庭-2
- 快適条件を満たせた絶景の庭-1
- 一本のベルトが人と車のスペースをひとつにする庭
- 表情多彩 リバーシブルを楽しむ庭
- いやされる団欒の庭
- 遊歩道のある西向き玄関のエクステリア
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- 設計事例 エクステリアのスロープデザイン
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