角地で、道路から玄関が近いお宅のエクステリア工事例のご紹介です。
一般的に、角地は車両の見通しが悪いため、家への出入りは出来るだけ角を使わない方が望ましいのですが、 こちらのお宅では、玄関アプローチが角地に面した部分になります。 玄関の位置が道路から近く、かつ角地に面していると、外構デザインを工夫しなければなりません。
当初の施主様の要望は、
・門扉やフェンスで敷地を囲ったクローズ外構にしたい
・角地のアプローチを安全面に配慮したデザインにしてほしい
というものでした。このご要望を考慮しながら、工夫の必要な敷地条件のマイナス面をプラスにできるよう外構をデザインしていきます。
- 設計図面
-
- A門まわり
- B角柱立ての間仕切り
- Cレンガサークル
- Dガレージ土間のデザイン
- E勝手口門扉
今回の事例でのポイントは以下の3つです。
1、
機能がエクステリアデザインを決める
2、
現場別対応で、エクステリアをランクアップ
3、
お客様との十分な打合せ期間(2~3ヶ月)
機能がエクステリアデザインを決める
まずは、敷地全体のゾーニングをします。様々な条件を考慮し、門まわり・ガレージなどの位置関係を決めていく作業です。
施主様要望のクローズ外構は、門扉をつけて敷地を閉じる外構スタイルです。出入り時の門扉開閉の動作が、飛び出しへのワンクッションとなり、角地の外構にはぴったりです。
しかし駐車場は、お車が3ナンバーの為、車の出し入れを考えるとガレージ部分に門扉を付けることは難しく、ガレージはオープンにならざるを得ません。こうして、玄関アプローチは扉あり、ガレージは扉なし、のセミクローズ外構がデザインの基本として決まりました。
次に、実際の敷地図面内での位置決めをします。
A-1 門柱の位置
門扉の前後に空間をとり、余裕を持って開閉できるよう、門柱は正面向かって左にします。
また、門柱・門扉を道路際より敷地の内側にセットバックすることで、道路と門柱の間にゆとりの空間を設け、出入り時の車両確認ができるようにします。インターホン・ポストの使用時にも、敷地内に一歩踏み込んだ形になるので、訪問してきた人の安全面にも有効です。
A-2 門扉の位置
門柱の横には40cm+80cm幅のアルミ鋳物門扉を設けます。門扉の柱が立つ位置を基準に、レンガサークルを展開。サークルがアプローチとガレージの両方にかかり、この外構デザインの中心になります。アプローチ側は道路からの階段ステップとして、ガレージ側は黒のピンコロ石※1で作る波のようなデザインの基点としての役割です。
※1:黒みかげ石 10cm角のもの 以下、ピンコロ石と表記
上手につなげる角柱立て
B門まわりとガレージの境
扉で閉じたクローズの門まわりと、オープンになっているガレージとの間は、 塀でしっかり区切ってしまうのではなく、スリットを使って圧迫感をなくします。
このように、まずは機能を満たすことを優先して位置取りをし、それをさらに意匠的にデザインしていくことで、安全性とゆとりを兼ね備えた、素敵な門まわりが出来上がっていきます。
この一連のデザインがすっきりと仕上がった最大のポイントは、門まわりとガレージの境である、間仕切りにあります。一見すると、アルミ角柱立ての何ということもない仕切りですが、ちょっとした工夫がされています。
- 工夫1
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工夫1: 門扉の柱と同じ7.5cmのアルミ角柱を同一線上に配列
工夫2: 照明も同じく、この配列に組み入れる
工夫3: アプローチとガレージ土間の段差解消のために 角柱の間に、ピンコロ石を入れる - 工夫2
- 工夫3
上記の工夫により際立ったレンガサークルが、空間の広がりを演出し、狭さを感じさせないクローズの門まわりになりました。また、柱を一直線にまとめることで、カーポートの柱も目立たなくなっています。
現場別対応で、エクステリアをランクアップ
この外構を構成する主な仕様は以下の通りです。
土間(床面):
洗い出し、ピンコロ石、
アンティークレンガ
立ち上がり(壁面):
レンガ門柱、鋳物門扉
しかし、これらの素材とデザインを施工するにあたり、通常の施工方法や、既製品そのままの使用では、納まりに少し無理が生じました。 そこで、施工の工夫や、加工・別注品をとりいれ、よりよい仕上がりを目指しました。
このエクステリアのためのオリジナル対応
A-1 門柱の笠木に自然石(砂岩)を加工。当初は既製品を使う予定だったが、少しイメージに合わなかったため、一枚ものの板石を門柱の幅に合わせてカットした。
A-2 ガラス表札をレンガ門柱の寸法に合わせて別注。
- 表札の位置を確認
-
サイズ別注で、
ちょうどレンガ2段分におさめた
B-1
間仕切りの高さを統一するため、既製サイズでは足りない門扉の柱に、補強も兼ねてステンレス部品を製作。
B-2
上記同様、照明ポールも長いものを別注。
- 黒の柱が門扉柱
- 右から2番目が照明
B-3 ピンコロ石のラインを通すため、(規格90×90)のピンコロ石を角柱のすき間に合わせて(75×70)に加工。
- ピンコロ石 加工中
- 黒のラインが通ってきれいな仕上がり
C アンティークレンガと洗い出し土間の境界を際立たせるためにステンレスの目地材を製作。
- ステンレスの目地材
- きれいなレンガサークル
E ガレージ奥の勝手口門扉を通路に合わせて門扉幅をカット。
- 既製品にはないサイズに現場加工
-
奥の勝手口門扉をつけることで
建物外周をクローズ
以上が、既製品だけではおさまらないこの現場での対応です。
また、この他にも、現場作業ではより良いものを作る上での工夫がなされています。
- ピンコロ石を仮置きしてバランスをチェック
- レンガサークルとつながりをもったデザイン
-
ステンレスの継目部分は、
洗い出し側にレンガが飛び出したデザインに - 遊び心のあるアクセント
お客様との十分な打合せ期間(2~3か月)
最後に、施工した実際の現場と、最初のプランを比べてみました。
一番最初のご提案は、お客様のご希望どおり、ガレージにも扉を設けたクローズ外構です。
しかし、これまでご紹介してきたように、お客様とお話しするなかで、最終のプランに変わりました。
この間、約2~3ヶ月に渡って、打ち合わせをし、お客様・プランナー共に納得のいく仕上がりになりました。
一目見ただけでは特別な施工を施しているとはわかりませんが、各々が独立していた最初のプランと比べてみると、アプローチ・門まわりガレージと、それぞれが繋がりを持つような
外構に仕上がっています。
よいタイミングで、十分な打ち合わせをすることができた結果です。
- 最初の提案
- 最終の図面